mental health Times


メンタルヘルスや過労死をテーマにWebサイトやblogで情報発信します

はじめに

バブル崩壊が招いたのは、アジア通貨危機とも重なった1997年から1998年にかけ、北海道拓殖銀行(拓銀)、日本長期信用銀行(長銀)、日本債券信用銀行(日債銀)、山一證券、三洋証券など大手金融機関が、不良債権の増加や株価低迷のあおりを受けて倒産し、事態は金融危機の様相を呈した。
それまでただでさえ主要国の中でも自殺者が多かった日本は、1997年24,391人の自殺者が1年後の1998年には一気に約8,000人増加した32,863人は先進国の中でも突出した数字で、以降2012年まで3万人を切ることはなかった。
自殺者の6割は「うつ症状」を抱え、その半数以上が「精神疾患」に認定された。
また無職(転職が好転しないものも含む)の自殺者が多かったのも特長であった。
  1. 過労死とは
  2. 勤務問題における過労自殺の原因
  3. メンタルヘルス:欧州連合(EU)職業性ストレスに関する取り組み
  4. ストレスチェック制度
  5. 過重労働による健康障害防止のための総合対策

過労死とは(過労死の定義)

過労死等防止対策推進法第2条により、以下のとおり定義づけられています。

  • 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
  • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

勤務問題における過労自殺の原因

過労死でも、特に問題にされるのは「過労自殺」です。
その内容は、
  1. 仕事疲れ
  2. 職場の人間関係
  3. 仕事の失敗
  4. 職場環境の変化
というデータもあり、厚生労働省は長時間労働、重労働が影響した「仕事疲れ」、「職場の人間関係」「仕事の失敗」「職場環境の変化」が影響するメンタルヘルスや仕事のストレス等への対策を強化している。

諸外国の自殺率

メンタルヘルス:欧州連合(EU) 職業性ストレスに関する取り組み

欧州連合(EU)は、労働者の安全衛生を確保するための各種措置を導入し、職業性ストレス(work-related stress)の問題にも取り組んできた。欧州生活労働条件改善財団の2000年の調査によると、欧州就業者の28%が職業性ストレスの影響を受けている。また、欧州安全衛生機構の調査では、欠勤の50~60%が職業性ストレスに関係し、心疾患のうち、男性16%、女性22%の原因がストレスであるという。

職業性ストレスとは、労働環境の要求が従業員の対応能力(または管理能力)を超えた場合に経験されるものである。ストレスの原因となる職業上の要因については、多くの研究者が一致した見解を持っていると言われており、それを10のカテゴリーに分けて示したのが表1である。

EUは1989年、「労働安全衛生の改善を促進するための施策の導入に関する理事会指令」を採択した(これは枠組み指令と呼ばれ、その後各分野の個別指令を採択)。枠組み指令は、事業者は「就業上のあらゆる局面で労働者の安全衛生を確保する義務を有する」と規定する。この一般原則に基づいて、事業者は、リスクの回避、リスク発生原因の除去、仕事の労働者への適合化等に関する措置を講じなければならない。職業性ストレスに関しても、それを除去または削減する義務を有する。EU加盟国は、指令の内容を自国の法令に取り入れている。

新たな職場のリスクに対応した政策

欧州委員会は、職業性ストレスを包括的に分析した「職業性ストレスに関する手引き」を1999年に発表した。手引きは、職業性ストレスの原因、症状、影響などに関する全般的な情報を盛り込み、職業性ストレスの特定に関する一般的なアドバイスを掲載している。国あるいは企業レベルのソーシャルパートナーの実際的な行動枠組みを提案し、治療よりも予防に重点を置いている。

2000年12月のニース欧州理事会で採択された社会政策アジェンダは、職場の健康と安全を実現するための共同体戦略を策定するよう欧州委員会に指示した。アジェンダは、職業性ストレスなどの心理社会的性質を含む新しいリスク要因に関する基準を設定し、優良事例の紹介を通じて対処していくことを目指していた。

これを受けて、欧州委員会は2002年3月、「労働と社会の変化に対する適応:労働安全衛生に関する新たな共同体戦略(2002~2006年)」を発表した。共同体戦略は、職場のいじめや暴力、ストレスなど、職場における新しいタイプのリスクに対応するためにEUの安全衛生政策を刷新することを目的としている。労働現場における変化と新たなリスクの出現、とりわけ社会心理的側面を考慮しつつ、労働福祉に対するグローバルなアプローチを試みるものである。その際、労働の質の向上、安全で健康的な労働環境の整備を不可欠な要素とみなし、リスク予防文化の強化と徹底、さまざまな政治的手段(立法措置、ソーシャル・ダイアログ、優良事例の紹介、企業の社会的責任と経済的インセンティブ)の活用とあらゆる関係者のパートナーシップ構築の重要性を強調している。

欧州安全衛生機構は2002年10月、職業性ストレスをテーマとした欧州労働安全週間をEU全域で実施した。このキャンペーンで同機構は、企業、労働者、安全衛生専門家が職業性ストレスの原因を把握し対処するためのパッケージ・ツールとして、
(1)企業向けストレス減少ガイド
(2)ストレス診断および対策用簡易チェックリスト
(3)欧州の職業ストレスに関する専用ウェッブ・サイト――を発表した。

 

EU中央労使団体、職業性ストレスに関する労働協約を締結

EUの中央労使団体は2004年10月、職業性ストレスに関する枠組み協約を締結した。欧州労連(UNICE)、欧州産業経営者連盟(UNICE)、欧州職人中小企業連盟(UEAPME)、欧州公共企業センター(CEEP)の4団体は、各構成組織による協約の履行を約束した。協約は、使用者、労働者および労使団体の職業性ストレスに関する知識と理解を促進し、ストレスに苛まれている労働者の兆候を見逃さないよう注意喚起することを目的としている。

職業性ストレスを防止、除去、削減するための方策として、枠組み協約は、(1)企業の目的と個別労働者の役割を明確化し、個人や集団に対する経営側の十分な支援を確保し、責任と仕事の統制を合致させ、労働組織・作業工程・労働条件や労働環境を改善するための管理や伝達の方法(2)管理職と労働者のストレスとその原因、対処法、変化への適応に関する知識と理解を向上させるための訓練(3)EUおよび各国法制、労働協約や慣行に基づく労働者および労働者代表組織への情報提供・協議の整備――を例示している。各団体の構成組織は、協約の履行状況について、EUレベルのソーシャル・ダイアログ委員会に報告する。同委員会は、毎年、履行状況の概要を取りまとめ、協約締結から4年後に包括的な報告書を作成することとしている。

EUの労働安全衛生政策は、ストレス、うつ、不安、職場暴力、ハラスメントなどの新たな職場のリスクに対応した身体面、モラル面、社会的次元を含む労働福祉(well-being)の継続的向上を目標としている。また、人口動態の変化、新しい雇用形態、職場組織、労働時間、企業規模(中小・零細企業に対する特別対策)などに配慮した施策に重点を置いている。

ストレスチェック制度(厚生労働省)

ストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたものです。平成27年12月に施行されました。