一般社団法人ココロ未来学院
Forest Principles

全ての種類の森林の経営,保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明

<外務省>

国連における取組

世界の森林の減少・劣化

背景

森林問題を巡っては,従来から,特に熱帯林を中心として急速な減少・劣化の進行等が指摘され,1992年6月UNCED(国連環境開発会議,通称「地球サミット」)で採択された『アジェンダ21』第11章「森林減少対策」には,熱帯林,温帯林,北方林を含む全ての種類の森林の多様な役割・機能の維持や,森林の持続可能な経営及び保全の強化等が挙げられている。また,UNCEDでは「森林原則声明」(注)も採択された。

(注)「森林原則声明」("Forest Principles")
正式名称:「全ての種類の森林の経営,保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明」
→ 森林に対する各国の主権の確認,森林の保全・回復及び持続可能な経営の実施に向けて各国は努力し,国際社会は協力すべきこと等,森林の保全,持続可能な経営・開発の実現に向け国レベル,国際レベルで取り組むべき15項目の内容を規定。

世界の森林の減少・劣化(deforestation and forest degradation)

  1. 世界の森林面積(2005年)= 約39.5億ヘクタール(地球の陸地面積の約30.3%)
  2. <地域別>

    • アフリカ 16.1%
    • アジア 14.5%
    • 欧州(含:ロシア) 25.3%
    • 北中米 17.9%
    • オセアニア 5.2%
    • 南米 21.0%
  3. 世界の森林面積の減少(2000~2005年)
  4. 年間平均約-731.7万ヘクタール(1990~2000年)

    年間平均約 -886.8万ヘクタール

  5. 世界の森林面積増減の比較(2005年森林面積:2000年比)
    • アフリカ -0.62%
    • アジア +0.18%
    • 欧州 +0.07%
    • 北中米 -0.05%
    • オセアニア -0.17%
    • 南米 -0.50%
    • 世界全体 -0.18%
  6. 熱帯林が減少している理由
  7. アフリカ・アジア地域における自給農業の拡大,南米・アジア地域における再移住,農業及び基盤整備関連の経済開発計画の実施等。
    森林火災(1997~1998年にかけてエル・ニーニョ現象による影響により,ブラジル及びインドネシアで大規模な火災が発生,それぞれ200-300万ヘクタールの熱帯林が焼失した。)
    違法伐採(例えば,インドネシアでは,生産される木材の50%が,ロシアでは10%が違法伐採木材であるとの報告がある。)
     上記出典:国連食糧農業機関(FAO)State of the World's Forests 2005

    森林は地球環境の保全と経済社会の発展に重要な役割を担っているが,森林の減少・劣化の進行は止まっていない。森林問題は各国,関係国際機関,NGO等が,持続可能な森林経営の推進に向けて,協力して解決していくべき地球的規模問題の1つである。

森林政府間パネル(IPF:Intergovernmental Panel on Forests)

(1)経緯

[1995~1997年]

年月 経緯
1992年6月 UNCED(「地球サミット」)の『アジェンダ21』に「森林減少対策」(第11章)が含まれ「森林原則声明」も採択された。
1995年4月 国連持続可能な開発委員会(CSD)第3回会合においてアドホックで自由参加(open-ended)のIPFをCSDの下に設置することを決定。IPFは1997年第5回CSD会合へ最終報告を提出することとされた。

<IPFの設立目的>

森林問題に対して行われてきた各種国際的取り組みについての評価をさらに推し進める
環境,社会,経済に対する影響をも考慮に入れた全ての種類の森林の管理,保全,持続可能な開発を推進するための総合的な提案の形成及び合意を追及する
森林原則声明」と両立する多くの専門分野にわたる活動を推進する
1995年6月 第50回経済社会理事会組織会期において同パネルの設置に関する決議案を採択
1995年9月 ~1997年2月までに4回の会合を開催
1997年4月 第5回CSDへ,国家レベル,国際レベルで取り組むべき多数の行動提案("proposals for action")を盛り込んだ最終報告書を提出

(2)IPFの検討事項

  1. 各国及び国際的なレベルでの森林に関するUNCED合意の実施状況
    • (1)国家森林計画及び土地利用計画等を通じたUNCED合意の実行方策
    • (2)森林減少・劣化の原因究明
    • (3)森林に関連した伝統的知識の保護・利用の促進方策
    • (4)砂漠化の影響を受けた脆弱な地域及び大気汚染の影響を受けた地域における(再)造林と森林回復のための支援方策
    • (5)森林低被覆率国における森林保全対策等
  2. 資金協力及び技術移転における国際協力
  3. 科学研究,森林評価及び持続可能な森林経営の基準・指標
    • (1)全ての種類の森林の多様な利益の評価
    • (2)森林の多様な利益の適切な評価方法についての検討
    • (3)基準・指標の適用,統一化等の促進方策
  4. 森林の生産物及びサービスに関連した貿易と環境
  5. 国際機関及び適切な法的メカニズムを含む多国間の措置等
    • (1)国際機関等の取組み状況等の把握
    • (2)法的措置を含む新たな国際約束の検討

(3)議論の結果

 

IPF第4回(最終)会合(1997年2月,ニューヨーク):
 国レベル,国際レベル等で取り進めるべき行動提案("proposals for action")等を含む最終報告書を採択(最終報告書は第5回CSDへ提出)。なお,ポストIPFを如何なる形でフォローアップすべきかの点については,森林に関する法的文書(legally binding instrument)(森林条約を含む)の取り扱いに関する各国の考えの相違も絡み,第5回CSD会合での議論に持ち越された。

(4)IPFの未解決事項

森林に関する法的文書(legally binding instrument)等への取組 新たな国際基金(資金メカニズム)の創設 貿易と環境問題(林産物貿易に関わる市場アクセスの改善)等

(5)日本の支援

 日本は,IPFの事務局運営を支援するため,国際熱帯木材機関(ITTO)を通じてIPF事務局長及びスタッフ1名のセカンドメント経費を支出した他,IPF事務局(ニューヨーク)に対し10万ドルを拠出した。

3 森林政府間フォーラム(IFF:Intergovernmental Forum on Forests)

(1)経緯

[1997~2000年] 年月 経緯 1997年6月  第19回国連環境開発特別総会(UNGASS)において,IPFの後を受け,アドホックで自由参加(open-ended)のIFFを期限付きでCSDの下に設置することを決定。 IFFは1999年第7回CSD及び2000年第8回CSD会合へ報告を提出することとされた。 <IFFの設立目的> IPF行動提案の実施促進 持続可能な森林経営の進捗状況の把握 IPF未解決事項の検討 森林に関する法的文書等の国際的な取決め及びメカニズムの内容の検討及び右に向けたコンセンサス形成 1997年7月 経済社会理事会において上記内容からなる決議を採択

(2)IFFの日程 第1回会合:1997年10月1日~3日 ニューヨーク 第2回会合:1998年8月24日~9月4日 ジュネーブ 第3回会合:1999年5月3日~14日 ジュネーブ 第4回会合:2000年1月31日~2月11日 ニューヨーク

(3)IFFの討議項目 カテゴリーI:森林に関する政府間パネル(IPF)行動提案の実施促進等 (a)IPF行動提案の実施促進方策 (b)持続可能な森林経営の進捗状況のモニター カテゴリーII:IPFからの未解決事項などの検討 (a)新たな国際基金の創設・その他の資金調達方法 (b)貿易と持続可能な森林経営の調和方策 (c)持続可能な森林経営のための環境保全上適正な技術移転の方策 (d)その他のIPF検討項目で更なる検討が必要な事項の検討 (e)国際機関,森林関連条約("instrument")の役割・活動等の分析 カテゴリーIII:国際的な取決め及びメカニズムの検討

(4)IFFでの議論の結果 IFF第4回会合(2000年1~2月,ニューヨーク):→「国連森林フォーラム」の設立  IFFプロセスの最終会合として,最大の懸案事項であった「国際的な取決め及びメカニズム」の議論の動向に各国の高い関心が集まっていたが,条約作成推進派(加等)と反対派(米,伯等)の意見の差異は解消されず,結果として今後の条約作成の検討の可能性をも残した形で,「国連森林フォーラム(United Nations Forum on Forests;UNFF)を設立し,今後も持続可能な森林経営の実施の促進や政策対話等を継続することで各国は一致した。結果として,1997年10月から4回にわたって行われたIFF会合の最終報告書が採択され,同報告書は,2000年4~5月のCSD8に提出された。なお,条約については,各国や国際機関等による持続可能な森林経営に向けた取組のモニタリングや評価をふまえ,5年以内に法的枠組を策定するマンデートの要素(parameters)について検討することになっている。資金問題,技術移転等については今後UNFFの枠組で議論が続けられるものと見込まれる。

(5)日本の支援  日本は,IFF事務局運営を支援するため,国際熱帯木材機関(ITTO)を通じてIFF事務局スタッフ1名のセカンドメント経費を支出した。また,IFF事務局(ニューヨーク)に対し,5万ドルを拠出した。

4 国連森林フォーラム(UNFF:United Nations Forum on Forests)

(1)これまでの経緯

[2001年~] 年月 経緯 2000年10月 経済社会理事会再開会合でUNFFの設立決議を採択 2001年2月 組織会合及び非公式協議(事務局のNY国連本部内の設置を決定) 2001年6月11日~22日 UNFF第1回会合(於:NY) 2002年3月4日~15日 UNFF第2回会合(於:NY)(閣僚級) 2003年5月26日~6月6日 UNFF第3回会合(於:ジュネーブ) 2004年5月3日~14日 UNFF第4回会合(於:ジュネーブ) 2005年5月16日~27日 UNFF第5回会合(於:NY)(閣僚級) 2006年2月13日~24日 UNFF第6回会合(於:NY) 2007年4月16日~27日 UNFF第7回会合(於:NY) 2009年4月20日~5月2日 UNFF第8回会合(於:NY) 2009年10月30日 UNFF第9回会合特別会(於:NY) 2011年1月24日~2月4日 UNFF第9回会合(於:NY)(閣僚級) 2013年4月8日~19日 UNFF第10回会合(於:イスタンブール)(閣僚級) 2015年5月3日~14日 UNFF第11回会合(於:NY)(閣僚級) 2017年1月20日 UNFF第12回会合特別会合(於:NY) 2017年5月1日~5日 UNFF第12回会合(於:NY) 2018年5月7日~11日 UNFF第13回会合(於:NY)

(2)UNFFの主要目的

持続可能な森林経営のための諸施策の検討 IPF/IFFの行動提案の実施の促進 法的枠組を策定するマンデートの要素について経済社会理事会への報告

(3)森林に関する協調パートナーシップ(CPF:Collaborative Partnership on Forests)

 UNFF活動を支援しIPF/IFF行動提案を実施するための森林に関する国際機関のパートナーシップ。世銀,FAO,ITTO,UNEP,UNDP,CBD等14の国際機関・条約事務局等からなる。

(4)UNFF第1回会合(UNFF1):

UNFFの5年間にわたる「多年度作業計画」を採択。 <多年度作業計画の主要点>
  1. 共通事項として「資金」「技術移転」「人材育成」「貿易」等を毎回議論。
  2. 各会合の重点分野
  3. UNFF2:森林の減少・劣化への対策森林保全・保護等

    UNFF3:森林の経済的側面,森林の健全性と生産性等

    UNFF4:森林の社会・文化的側面,持続可能な森林経営の基準・指標等

    UNFF5:活動状況のレビュー,法的文書策定の要否の検討等

    IPF/IFF行動提案の実施を促進するための「行動計画」を策定。

(5)UNFF第2回会合(UNFF2):

閣僚会合(2002年3月13~14日)で「閣僚宣言」が採択され,UNFFより2002年8月に南アフリカで開催されたヨハネスブルグサミット(WSSD)に対し以下の項目を含むメッセージがまとめられた。

  1. 森林の多様な価値を重視し,貧困,土壌劣化及び飲料水等の対策として持続可能な森林経営を進める。
  2. 森林法規の実行と生物資源を含む林産物の違法な国際貿易に対する取組を直ちに実施するとともに,国際社会は関連の制度・人材の能力育成のための支援を行うことを慫慂する。
  3. 持続的な伐採の達成のための取組及び非持続的な伐採に対処するための取組を直ちに実施することを慫慂する。
  4. 持続可能な森林経営のための財源増,森林法施行等のためのパートナーシップと国際協力を創設・強化する。

(6)UNFF第3回会合(UNFF3):

(ア)モニタリング・評価・報告の手法,(イ)資金及び技術移転,(ウ)法的枠組み,の検討を行うためのアド・ホック専門家グループの設立を決定。 森林の経済的側面,森林の健全性及び生産力,森林被覆の維持等に関するIPF/IFF行動提案の実施を促進するための決議を採択。 UNFFにおける協議の効果を発揮させるため,CPF(森林に関する協調パートナーシップ)に参加する国際機関・条約事務局等との更なる協力・対話の促進を奨励し,また,2002年のヨハネスブルグ・サミットの際に発足した新たな森林パートナーシップの役割を評価する旨の決議を採択。

(7)UNFF第4回会合(UNFF4):

森林に関する科学的知見,森林の社会的・文化的側面,モニタリング・評価・報告,持続可能な森林経営の基準・指標,資金・環境に優しい技術移転等に関するIPF/IFF行動提案の実施を促進するための決議を採択。 NGO,産業界,先住民社会等からの参加を得て,上記分野に関する多様な利害関係者による対話を実施。同対話の中で,我が国等が推進しているアジア森林パートナーシップ等の役割が高く評価された。 2005年の第5回UNFFの議題の一つである森林に関する国際的枠組みの実効性の評価の実施を促進する決議を採択。

(8)UNFF第5回会合(UNFF5):

森林・林業分野に対する政治的関心や社会全体の支持の促進,具体的な行動の推進等の観点から,各国とも何らかの国際的枠組は必要との認識を共有していることが確認された。 新たな国際的枠組は,実効性を高める観点から,世界レベル及び地域レベル双方の枠組を活用する方向で考えがほぼ一致した。 しかしながら,具体的な国際的枠組のあり方,同枠組が目指すべき目標などについて各国の意見の隔たりが大きく,2006年2月に第6回会合を開催して,これらの問題について合意を目指すこととなった。

(9)UNFF第6回会合(UNFF6):

今後のUNFFのマンデート等について,1)森林減少傾向の反転,2)森林由来の経済的・社会的・環境的便益の強化,3)保護された森林及び持続可能な森林面積の大幅な増加と持続可能な森林からの生産物の増加,4)持続可能な森林経営のためのODAの減少傾向の反転を4つの世界的目標(Global Objectives on Forests:GOFs)とし,2015年までは,法的拘束力を有さない国際的枠組みの下で,同目標の達成及び持続可能な森林経営の推進を目指すことで一致した。 違法伐採問題への対処の必要性につき幅広い支持が得られ,「各国の国内法に照らして違法な行為及び林産品の違法な貿易に対処するための各国の能力を強化する」よう各国に求めることが盛り込まれた。

(10)UNFF第7回会合(UNFF7):

「全てのタイプの森林に関する法的拘束力を持たない文書(NLBI)」及び「多年度作業計画(Multi-Year Programme of Work:MYPOW)」を採択。 (ア)NLBIの概要 UNFF6で合意された森林に関する4つの世界的目標を掲げた上で,持続可能な森林経営の促進のために,(1)各国が講じるべき25項目の国内政策及び措置(国家森林プログラムの整備・実施,持続可能な森林経営を促進する政策の策定・実施等),並びに,(2)19項目の国際協力及び実施手段(持続可能な森林経営のための実施手段強化に向けたハイレベルの政治的コミットメント確保に向けた努力,国内法に基づき森林に関する違法行為に対処するための能力強化,違法な林産品等の違法貿易への対処に向けた国際協力等)につき記述。 (イ)MYPOWの概要 (1)2015年までのUNFFセッションは2年に1度開催。 (2)2015年までの各UNFFセッションの具体的な議題を以下のとおり設定。 UNFF8(2009年) 「環境変化における森林」及び 「持続可能な森林経営のための実施手段」 UNFF9(2011年) 「人々,生計及び貧困削減のための森林」 UNFF10(2013年) 「森林と経済開発」 UNFF11(2015年) 「森林:国際的な森林枠組に関する進捗,課題及び進むべき道」 (3)各セッションにおける分野横断的な課題として,実施手段,森林法の施行及びガバナンスを設定。また,各セッションにおいて一つの緊急の課題についても議論。 (4)地域プロセス等による取組を慫慂し,事務局に対してそのインプットがなされる。 (5)UNFF9及びNFF11において,ハイレベル・セグメントを開催。

(11)UNFF第8回会合(UNFF8):

「環境変化における森林」の議題の下,(ア)気候変動,森林減少・劣化,砂漠化,生物多様性の損失等の課題に対処する上での持続可能な森林経営の実施強化,(イ)森林に関連した国際機関及び関連条約における関連戦略への持続可能な森林経営の統合,(ウ)森林に関する地域・準地域の対話・協力の促進,(エ)持続可能な森林経営に関する南北協力・南南協力・第3国協力に係る戦略策定等に関する決議を採択。 「持続可能な森林経営のための実施手段」として,持続可能な森林経営のための資金提供のあり方等についても議論が行われたが,新たな基金の設置の是非をめぐって各国の意見の溝が埋まらず,2011年に予定されるUNFF9に議論が持ち越された。

(12)UNFF第9回会合(UNFF9)特別会合:

 (ア)資金動員のための戦略を検討するアドホック専門家会合の設置,(イ)持続可能な森林経営及びNLBIの実施並びにGOFsの達成を推進するための「促進プロセス」の開始等を内容とする持続可能な森林経営のための実施手段に関する決議を採択。

(13)UNFF第9回会合(UNFF9):

閣僚会合(2011年2月2~3日)の結果,2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)に向けたインプットとして,(ア)持続可能な森林経営に必要な条件作りを通じた人々の生計改善,(イ)クロス・セクター及びマルチ・セクターの政策・メカニズム等の策定・実施,(ウ)NLBI及びGOFsの達成努力の加速,(エ)リオ3条約事務局等関係機関の間の一貫性・シナジーの促進等へのコミットメントを含む「閣僚宣言」を採択。 「人々,生計及び貧困削減のための森林」の議題の下,森林法の執行・ガバナンスの強化,途上国の能力構築の促進,参加型メカニズムの強化,地域・コミュニティ企業の促進,NLBIの国家開発戦略への統合等を主な内容とする決議を採択。

(14)UNFF第10回会合(UNFF10):

「森林と経済開発」のテーマの下,持続可能な森林経営の国家開発戦略への統合を図り,森林からの便益の最大化と森林への負の影響を最小化する土地利用のあり方などのほか,4GOFsの達成状況及びNLBIの実施状況・進展,森林に関する国際的な枠組みの効率性,持続可能な森林経営の実施手段(資金・技術協力等)に関する決議を採択。 現在の枠組みの最終年となる2015年に,これまでの成果を評価し,任意の世界森林基金の必要性を含む,森林に関する国際的な枠組みのあり方について協議することとし,会期間活動として専門家会合や独立的な評価を行うこととなった。 2015年から先の国際開発目標及び持続可能な開発目標の検討においては,持続可能な森林経営を中心とした森林分野に相応の考慮が払われるべきであることで一致した。

(15)UNFF第11回会合(UNFF11):

2015年は,森林に関する国際的な枠組み(IAF:International Arrangement on Forests)を見直す年にあたることから,今後のあり方について議論が行われ,森林に関する国際的な枠組を強化し,IAFにおける取組が2030年まで延長されることとなった。 決議(「2015年以降の森林に関する国際的な枠組み」)において,主に以下の点が決議された。 今後2030年までの戦略計画及び四年間の作業計画を策定し,同計画の実施状況をレビューする。戦略計画の策定に当たっては,UNFFの下部組織として,作業部会を開催する。 既存の資金へのアクセス向上を目的とした「促進プロセス」を強化し,より効果的にするため,名称を「世界森林資金供給促進ネットワーク(GFFFN: Global Forest Financing Facilitation Network)」に変更。各国は,持続可能な森林経営に向けたリソースを導入するための「国家森林資金戦略」を策定し,地球環境ファシリティ(GEF)や緑の気候基金(GCF)等,既存の基金や新たな資金メカニズムへのさらなるアクセス向上をめざす。 なお,決議にかかる閣僚宣言(「我々の求める2015年以降の森林に関する国際的な枠組み(The International Arrangement on Forests We Want beyond 2015)」)が採択され,持続可能な森林経営の推進が持続可能な開発において重要な役割を果たすことが再確認された上で,持続可能な森林経営の推進に向けた政策対話の場としてのフォーラムの価値を認識し,森林に関する国際的な枠組みを継続すること等が盛り込まれた。

(16)UNFF第12回会合(UNFF12)特別会合:

「2015年以降の森林に関する国際的な枠組み」(ECOSOC決議2015/33)に基づき,「2017~2030年国連森林戦略計画(United Nations Strategic Plan for Forests 2017~2030: UNSPF)」及び「2017~2020年の4か年作業計画」を採択。 2030年までに国際社会が達成すべき目標として,6つの世界森林目標及び26の関連するターゲットが掲げられ,加盟国はその達成状況を評価した報告書を定期的に報告することとなった。

(17)UNFF第12回会合(UNFF12):

既存の資金へのアクセスの向上を目的とした,「世界森林資金供給促進ネットワーク(Global Forest Financing Facilitation Network:GFFFN)」について,以下の内容の決議を採択。 「2017~2030年国連森林戦略計画(UNSPF)」における優先事項を実施 特定分野・地域に偏らない,バランスの取れた形で,効果的かつ透明性が確保されたプロセスにより運営する方針とする ハイレベル政治フォーラム(High Level Political Forum:HLPF)でレビュー対象となる持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)と森林との関係についても議論が行われ,2018年のHLPF会合に向けたインプットとして,各国における森林と関わりの深いSDGsのゴールへの貢献に関する情報を収集することを決定。

(18)UNFF第13回会合(UNFF13):

「2017~2030年国連森林戦略計画(UNSPF)」及び「2017~2020年の4か年作業計画」に基づき,世界森林資金促進ネットワーク(GFFFN)の運営ガイドライン及びUNFFに関するコミュニケーション・アウトリーチ戦略(2018~2020年版)を採択。 前回UNFF12において更なる改訂を求められたUNFFの国別報告様式が最終決定され,2019年11月中旬までに同報告様式による報告が提出されることとなった。

全ての種類の森林の経営,保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明

Ⅰ 前  文

森林問題は,持続可能な基礎の上に立った社会・経済発展への権利を含む環境と開発の全ての問題及び機会と関連する。 この諸原則の自的は森林の経営,保全,持続可能な開発に貢献し,森林の多様かつ補完的な機能及び利用を可能とすることである。 森林の問題及び機会は,伝統的利用を含む森林の多様な機能及び利用,利用が抑制或は制限される際にありうる経済・社会的問題,及び持続可能な森林経営がもたらす開発の潜在力を考慮しつつ,環境と開発の総合的文脈の中で全体的かつ均衡のとれた方法で検討されるべきである。 この諸原則は,森林に関する最初の世界的合意を反映するものである。この諸原則の迅速な実施を約束するに際し,各国は森林問題に関する更なる国際協力との関係で,同原則の適切さを常に評価していくことを決定する。 この諸原則は,南方,北方,亜温帯,温帯,亜熱帯及び熱帯を含む全ての地理的区域・気候区分内にある天然及び人工の森林に適用されるペきである。 全ての種類の森林は,人類の必要を充足させる資源と環境的価値を供給する現在及び潜在的な能力の基礎である複雑で固有の生態学的プロセスを有しており,従って,-その健全な経営と保全は森林の存する国家の関心事であり,地域社会と環境全体にとって価値を有する。 森林は経済発展及び全ての形態の生命の維持にとって必要不可欠なものである。 森林の経営,保全及び持続可能な開発の責任は多くの国において連邦・中央政府,州・地域・地方自治体に分割されていることを認識しつつ,各々の国は,その憲法及び/或いは法律に従い,政府の適切なレベルでこの諸原則を追求すべきである。  

Ⅱ 原則/要素


  1. 各国は国連憲章と国際法の原則により,自国の環境政策に沿った資源の開発を行う主権を有し,その管轄権の及ぶ範囲の活動が他の国家や管轄権外の地域の環境へ被害を与えない責任を有する。
    森林保全と持続可能な開発に関連する利益の達成のための合意された全ての増加費用は一層の国際協力を必要とし,国際社会によって衡平に分担されるべきである。
  2. 2. 国家はその開発の必要及び社会・経済発展の水準に従い,また,持続可能な開発及び法制度に合致した国家政策に基づき,森林を利用,経営,開発する主権的かつ不可侵の権利を有し,それは総合的社会経済開発計画の下で合理的な土地利用政策に基づき林地を他の用途へ転用することを含む。 森林資源及び林地は,現在及び将来の世代の人々の社会的,経済的,生態学的,文化的,精神的な必要を満たすため持続的に経営されるべきである。これらの必要は,木材,木製品,水,食糧,飼料,医薬品,燃料,住居,雇用,余暇,野生生物の生息地,景観の多様性,炭素の吸収源・貯蔵源のような森林の財及びサービス及びその他の林産物に対するものである。森林の全ての多様な価値を維持するため,森林を大気汚染を含む汚染,火災,害虫,病気による有害な影響から保護するための適切な措置がとられるべきである。 森林と森林の生態系に関する時宜を得た正確かつ信頼し得る情報の提供は一般の人々の理解と見識ある政策決定に必要不可欠であり,確保されるべきである。 政府は国の森林政策の策定,実施,発展に際して,地域社会,先住民,産業界,労働界,NGO,個人,森林居住者および女性を含む関心を有する者の参加を促進し,機会を提供すべきである。   3. 国の政策と戦略は森林と林地の経営,保全,持続可能な開発のための制度とプログラムの強化発展を含む,-層の努力のための枠組みを提供すベきである。 国際的な制度的取決めは,適宜,既存の機関及びメカニズムを基礎として,森林分野の国際協力を促すべきである。 森林と林地に関連する環境保護と社会・経済発展の全ての側面は統合され,包括的なものであるべきである。   4.               特に,脆弱な生態系,流域,淡水資源を保護する役割や生物多様性及び生物資源の宝庫及びバイオテクノロジー生産物のための遺伝資源の源泉としての役割及び光合成を通じて,地方,国,地域,地球レベルの生態学的プロセス及びバランスを維持するのに果たす全ての種類の森林の極めて重要な役割が認識されるべきである。   5. 国の森林政策は,先住民とその共同体,その他の共同体及び森林居住者の独自性,文化及び権利を認識し適切に支援すべきである。これらのグループが森林利用に経済的利害関係を有し,経済活動を行い,適正な水準の生計及び厚生,文化的独自性,社会的組織を達成・維持するための適切な条件が,特に,森林の持続可能な経営のインセンティブとして機能するような土地所有制度を通じて,促進きれるべきである。 森林の経営,保全,持続可能な開発の全ての側面における女性の十全な参加が積極的に推進されるべきである。   6. 全ての種類の森林は,特に途上国において,再生可能な生物エネルギー資源の提供を通じてエネルギー需要を満たす重要な役割を果たしており,家庭及び産業用燃料材の需要は持続可能な森林の経営と造林及び再造林を通じて満たされるべきである。この目的のため,燃料用及び産業用木材供給のため郷土樹種及び導入樹種の植林が寄与する滞在力が認識されるべきである。 国の政策及び計画は,森林の保全,経営及び持続可能な開発と林産物の生産,消費,再利用及び/或は最終処分に関連する全ての側面との間に関係が存在する場合には,その関係を考慮すべきである。 森林資源の経営,保全及び持続可能な開発にかかる決定は,実行可能な蔽囲において,森林の財とサービスの経済的・非経済的価値および環境的費用と便益の包括的な評価に支援されるペきである。そのような評価の手法の開発と改良が促進されるべきである。 再生可能なエネルギー及び工業原料の持続可能かつ環境上健全な源泉としての人工林及び恒常的農作物の役割が認識され,増進され,促進されるべきである。生態学的プロセスの維持,一次林/原生林への圧力の相殺及び地域住民の適切な関与の下での地域の雇用と開発に対する人工林及び恒常的農作物の貢献が認識され増進されるべきである。 天然林も財とサービスの源泉であり,その保全,持続可能な経営及び利用が促進されるべきである。   7. 全ての国において森林の持続可能かつ環境上健全な経営に資する支援的国際経済環境を促進する努力がなされるべきであり,そのような努力には,とりわけ持続可能な生産消費パターンの促進,貧困の撲滅と食料確保が含まれる。                   相当量の森林面積を有し,天然林の保護区域を含む森林の保全プログラムを策定する途上国に対して特定の資金が供与されるべきである。この資金は,とりわけ,経済的社会的な代替活動を刺激するような経済部門に向けられるべきである。    8. 世界の緑化のための努力がなされるペきである。全ての国,特に先進国は,適宜,再造林・造林及び森林保全のため,積極的かつ透明性のある行動を起こすべきである。  森林面積と森林生産性を維持,増加するための努力が,非生産的な,劣化した,或いは森林が消失した土地における樹木や森林の再生,再造林,再造成及び,現存する森林資源の経営を通じて,環境的,経済的,社会的に健全な方法でなされるべきである。 特に途上国における森林の経営,保全,持続可能な開発を目的とした国の政策と計画の実施は,適宜,民間分野を含む,国際的な資金的・技術的協力によって支援されるべきである。 森林の持続可能な経営及び利用は,国の開発政策と優先順位に従い,また,国の環境上健全なガイドラインに基づいて行われるべきである。そのようなガイドラインの策定に際しては,関連する国際的に合意された手法と基準が,適当な場合であって,かつ,適用可能ならば,考慮されるペきである。 森林経営は,生態系のバランスと持続可能な生産性を維持するため,隣接する地域の管理と統合されたものであるべきである。 森林の経営,保全,持続可能な開発のための国の政策及び/或いは法制は,一次林/原生林と国家的重要性を持った文化的,精神的,歴史的,宗教的その他独自の価値を持った森林を含む生態学上活性が保たれるような代表的かつ独自の森林の保護を含むものであるべきである。 遺伝物質を含む生物資源へのアクセスは,森林保有国の主権的権利,及びそれらの資源からもたらされるバイオテクノロジー生産物からの利益と技術の相互に合意された条件での共有に対する然るべき配慮とともに行われるべきである。 国の政策は,諸活動が重要な森林資源に重大な悪影響を及ぽす恐れがあり,かつ,そのような活動が権限のある国の当局の決定の対象となる場合には,環境影響評価の実施を担保すべきである。   9. とりわけ先進国への資源の純移転によって状況が悪化している場合の対外債務への取り組みの重要性,及び林産物,特に加工林産物に対する市場アクセスの改善を通じて少なくとも森林の再生に必要な価値を実現する問題を考慮しつつ,途上国が自らの森林資源の経営,保全,持続可能な開発を強化するための努力が国際社会によって支援されるべきである。この関連で,市場経済への移行過程にある諸国に対しても特別の注意が払われるべきである。 森林資源の保全及び持続可能な利用を達成するための努力に障害となる諸問題及び,森林及びその資源に経済・社会的に依存している地域住民,とりわけ都市貧困層,農山村貧困層にとって代替的な選択肢が欠けていることに起因する諸問題についての政府及び国際社会による取り組みが行われるべきである。 全ての種類の森林に関する国の政策形成は森林部門以外の影響要因によって森林の生態系および資源に加えられる圧力および需要を考慮すべきであり,これらの圧力および需要に対処するための横断的手段が探求されるべきである。   10.  造林,再造林及び森林減少・森林及び土地の劣化の抑制等を通じ途上国がその森林資源を持続的に経営,保全,開発することを可能とするために,新規かつ追加的な資金が途上国に供与されるべきである。   11.  特に途上国が内在能力を向上させ,森林資源をよりよく経営,保全,開 発することを可能とするため,アジェンダ21の関連規定に従いつつ,相互に合意された,譲許的で特恵的な条件によるものを含む,有利な条件で,環境上健全な技術とそれに対応するノウハウへのアクセス及び移転が,適宜,促進され,助長され,資金を供与されるべきである。   12. 関連する生物学的,物理的,社会的,経済的要因,技術開発及びその森林の持続可能な経営,保全,開発の分野への適用を考慮に入れつつ国の機関によって行われる科学的研究,森林の資源調査及び評価は,国際協力を含む効果的な方法により強化されるべきである。この関連で,持続可能な形で収穫される非木質生産物に関する調査・開発にも注意が向けられるべきである。 森林及び森林経営の教育,訓練,科学,技術,経済学,人類学,及び社会的側面に関する国家的,そして適当な場合における,地域的及び国際的な制度的能力は森林の保全と持続可能な開発にとって必要不可欠であり,強化されるべきである。 森林及び森林経営に関する調査研究と開発の結果についての国際的情報交換が, 民間部門を含む教育訓練機関を最大限活用しつつ,適宜,強化,拡大されるべきである。 森林の保全と持続可能な開発に関する適切な地元における能力及び地域の知識が制度的財政的支援を通じて,関係する地域社会の人々の協力のもとに,認識,尊重,記録,発展され,また,適宜,諸プログラムの実施に取り入れられるべきである。従って,地元における知見の利用から生じる利益はそのような人々と衡平に分かち合われるべきである。   13. 林産物の貿易は,国際貿易法規及び諸慣行と合致し非差別的かつ多国間で合意された規律及び手続きに基づくべきである。これに関連して,林産物の開かれた自由な国際貿易が促進されるべきである。 生産国が再生可能な森林資源をよりよく保全,経営することを可能とするため,付加価値の高い林産物に対する関税障壁及びよりよい市場アクセスと価格の提供に対する障害の削滅または撤廃,及びそれら産品の地元における加工が奨励されるべきである。 森林の保全と持続可能な開発を達成するため,市場の力学とメカニズムへの環境的費用と便益の算入が国内的にも国際的にも奨励されるべきである。 森林の保全と持続可能な開発の政策は,経済・貿易,その他関連政策と統合されるべきである。 森林の劣化につながり得るような財政政策,貿易,産業,運輸,その他の政策及び慣行は,避けられるべきである。森林の経営,保全及び持続可能な開発を目的とする適切な諸施策が,適切な場合にはインセンティプを含めて,奨励されるべきである。   14.  長期的な持続可能な森林経営を達成するため,木材及び他の林産物の国際貿易を制限かつ/或いは禁止するための,国際的な義務や取決めと両立しない一方的措置は除去または回避されるべきである。        15.  汚染物質,特に酸性降下物の原因となるものを含む大気汚染物質は,森林生態系の健全性にとって,地方的,国家的,地域的,地球的レベルで有害であるので規制されるべきである。