一般社団法人ココロ未来学院
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地球サミット
持続可能なアジェンダ2030

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

Intergovernmental Panel on Climate Change

気候変動枠組み条約及び京都議定書

地球温暖化の影響や対策に関する科学的知見を提供する国連の研究組織。略称IPCC。大洪水や大干魃(かんばつ)など温暖化に起因するとされる気候変動が深刻化したため、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が共同で設立した。2014年11月時点で世界の195か国・地域が参加している。常設事務局はスイスのジュネーブにある。人為的に誘発した気候変動の危機に関する科学的、技術的、社会経済的な最新情報を集約し、その結果の評価を提供することを目的とする。各国政府などの推薦に基づき、世界の科学者や政府関係者が無報酬で参加し、すでに公表された論文などを検討・分析して最新の知見を報告する。独自に新たな研究をすることはなく、政治交渉も行わない。活動は(1)温暖化の自然科学的知見、(2)影響や被害対策、(3)温室効果ガス排出削減策の3作業部会Working Group(WG)に分かれて行われる。報告書には三つの部会報告とこれらを統合した評価報告書があり、公表にはすべての政府の受諾が必要である。とくに、専門家以外にもわかるように重要ポイントをまとめた「政策決定者向け要約」は1文ずつチェックされ、IPCC総会で全会一致での承認が必要となる。  これまでIPCCは1990年、1995年、2001年、2007年、2013~2014年と5~6年ごとに、計5回の評価報告書を公表した。第1次評価報告書は21世紀末までに気温が3℃上昇すると予測し、先進国の温室効果ガス排出抑制の合意を求めた。第2次では、開発途上国を含めた多くの国が対策に取り組む必要性を提案し、第3次では地域別評価を詳しく行い、第4次では21世紀末には平均気温が20世紀末より最大で6.4℃上昇すると指摘した。第5次報告では「温暖化の主因は人為的である可能性が95%以上」と断定し、有効な対策をとらない場合、21世紀末の世界の平均気温は2.6℃~4.8℃上昇し、海面は最大82センチメートル上昇すると警告した。報告書を基礎資料として温暖化対策の国際交渉が行われ、これまで第1次報告書が1992年の気候変動枠組み条約(UNFCCC)、第2次報告書が1997年の京都議定書の採択にそれぞれつながるなど、地球環境にかかわる国際的合意に大きな影響を与えている。  IPCCは2007年にノーベル平和賞を元アメリカ副大統領のゴアとともに受賞した。授賞理由は「人為的気候変動についての知識を広め、その対策に尽力」、さらに「人間活動と地球温暖化の関連についての共通認識をつくった」としている。[矢野 武] [参照項目] | 温室効果 | 気候変動 | 気候変動枠組み条約 | 京都議定書 | ゴア(Albert Gore Jr.) | 国連環境計画 | 世界気象機関 | 地球温暖化 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

温室効果ガスの増加

人為起源による気候変化、影響、適応、緩和の方策について、科学、技術、社会科学の面から評価を行うために1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が設置した組織。90年に第1次報告書を出したのを皮切りに2001年に第3次報告書を公表、さらに07年に第4次報告書をまとめた。報告書は時を追って次第にデータの積み重ねで精緻(せいち)化され、第4次は温暖化が起こっているかどうかについては、第3次報告書の「可能性が高い」から、「起こっている」と断定し、そのうち人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因とほぼ断定した。1980年から90年までに比べ、2090年から99年の平均気温の上昇は1.1〜6.4℃の範囲と予測した。それを環境の保全と経済の発展を両立させる「持続発展型社会シナリオ」では約1.8℃、化石エネルギーを重視する高成長社会シナリオでは約4.0℃と予測。30年まではこうしたシナリオの違いにかかわらず10年当たり0.2℃気温が上昇するとしている。 さらに気温の上昇によって、▼淡水資源では、今世紀半ばまでに年平均河川流量と利用可能水量が、多くの中緯度の一部の乾燥地域と乾燥熱帯地域で10〜30%減少する▼生態系では、多くの生態系において復元力が追いつかなくなる▼作物は年平均気温が1〜3℃の上昇幅なら生産量は増加するが、それを超えて上昇すれば減少に転じる▼80年代までに海面上昇によって毎年洪水の被害者数が数百万人ずつ増える、と予測した。そして、既に、氷河湖の数の増加と拡大、発芽、鳥の渡りなど春季現象が早期化している、多くの地域の湖沼や河川で水温が上昇、熱波による死亡、病原菌を媒介する生物による感染症リスクの増加など、影響が生じているとした。一方で、温室効果ガスの排出量の削減対策とともにそれに社会が対応する「適応」策の強化の必要性も強調している。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」