データ統計における分析と解析

分析とは

物質中にどのような化学種が含まれているか、さらにその成分がどのくらいあるかを解析する諸技法およびそれを行うこと。地球から地球外に至るすべての物質が対象となる。科学技術の諸分野においては、さまざまな物質や材料を取り扱っており、つねにその分析が要求されている。研究分野のみならず、工業生産へ直接結び付いている点も特徴の一つであり、近代科学の進歩や生産性の向上に果たしている役割は計り知れないものがある。分析という概念は、錬金術から医術化学の時代にすでに芽生えているが、科学的思考で分析の基礎を築いたのが新しい元素観を主張したイギリスのボイルであり、学問的に体系づけたのは同じイギリスのプリーストリーやフランスのラボアジエである。分析は元素分析から始まり、現在も超微量成分の分析とその方法の開発へと際限なく続いている。一方、化学および化学技術の発展とともに、あらゆる化学種、さらには化学種が同じでも相が異なるものまでも分析の対象となってきた。すなわち、元素分析の精度を極限まであげたとしてもその物質や材料の特性を明確にすることはできず、そのためには、元素間の結合様式、化合物集合体の集合状態をはじめとするさまざまな情報を得る必要が生じ、これらの分析を行うことを状態分析とよんでいる。状態分析では、物質や材料をあるがままの姿で分析することが必須(ひっす)であり、さまざまな物理あるいは物理化学的分析法が用いられている。さらには、元素分析と状態分析の情報を総合して、材料の物性までを評価するようになり、これをキャラクタリゼーションcharacterizationとよんでいる。化学分析と複数の物理分析とを併用した総合的な分析といえる。[高田健夫]

解析とは

1 事物の構成要素を細かく理論的に調べることによって、その本質を明らかにすること。「調査資料を解析する」
2 数学的論法の一。Aの事柄を証明するために、Aが成立するためにはBが成立しなければならないことを示し、Bが成立するためにCが成立しなければならないことを示し、以下順次これを繰り返して既知の事柄に帰着させること。
3 「解析学」の略。

データサイエンティスト

さまざまな課題の解決や展望を予測するため、膨大に蓄積されているビッグデータの内容やその分布を調べ、特定の傾向や性質に基づいた解析によって適切な解決方法を提示・評価する職業。ICT(情報通信技術)の環境整備を背景に、企業などが収集、蓄積するデータの種類や量は爆発的に増加し続けており、ここから必要なデータを取り出し、効果的に実際のビジネスや社会活動に利用するデータサイエンティストの存在が注目されている。21世紀は「データが産業のコメになる」といわれており、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)によるユーザー情報の収集や、POS(ポス)データによる商品管理情報などの膨大なデータをどのように企業マネジメントやビジネス戦略に役だてるかが課題になっている。  従来のITエンジニアが担っていた情報処理やプログラミングの技術に加え、社会や企業の動向を数理モデルに反映するには幅広い知識が必要になる。現在の企業では、得意分野ごとに専門家がデータサイエンスチームを編成し、このようなデータ分析にあたっているのが実情である。日本では、データサイエンティストのような専門家や研究者を育成する学術的な基盤や養成プログラムはまだ存在していないが、2013年(平成25)7月に、データサイエンティストに対する支援と啓蒙活動などを目的とした一般社団法人データサイエンティスト協会が発足した。  アメリカにおけるデータサイエンティストという仕事への認識もまだ新しいもので、2012年に行われた大統領選挙の際、統計学の専門家シルバーNate Silver(1978― )が、全米50州の選挙結果を予測し、すべて的中させたことで認知度が高まった。シルバーは特別なデータを利用せず、過去と現在の世論調査や経済指標など、一般に入手可能な幅広いデータを活用し、だれが勝利するかを判定する数理的分析手法によって完璧な分析結果を得た。シルバーは2008年の大統領選挙の際にも、50州中で49州の投票結果を的中させたことで話題となり、2009年にはアメリカの週刊誌『タイム』が選ぶ「世界でもっとも影響力がある100人」に選ばれた。[編集部]
小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)